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相続分の無償譲渡

状況

亡くなった方は、生前、義理の夫の財産を遺贈する旨の公正証書遺言を作成していました。
しかし、遺言書で定めた義弟が先にお亡くなりになり、遺言書は無効となってしまいました
その御子息(相談者)に財産を譲るという意向でしたが、新たな遺言状の作成はされませんでした。

 

亡くなった方には法定相続人が十数名おり、疎遠となっている方も多く、相談者は法定相続人にはあたらないため、遺産分割協議はなかなかまとまらず、裁判所の調停により遺産分割がなされました。
結果として、相談者がほとんどの財産を取得することとなりましたが、最終的に分割完了するまでの間に、以下の手続きをされた相続人がいらっしゃいました。

 

① 法定相続人である調停申立人への相続分無償譲渡
② 法定相続人ではない相談者への相続分無償譲渡

当事務所からの提案

当センターへの相談内容は、相続税・贈与税の課税関係を教えて欲しいというものでした。

 

相続分譲渡とは、法定相続人の有する相続分の全部または一部を他の法定相続人(①の場合)、あるいは法定相続人以外の第三者(②の場合)に譲渡することです。

 

無償譲渡である場合、①では、相続分が移動するだけですので、相続財産そのものは変わらず、贈与税の課税もありません。
それに対して、②では、譲渡を受けた人が法定相続人ではないので贈与により財産を取得したものとされ、贈与税が課税されることになります(東京高裁判決、平成17年(行コ)第140号)。

 

既に作成されていた財産目録から試算したところ、相続税の申告は必要なく、贈与税の基礎控除110万円を若干超過していたため、贈与税申告書のみ作成させていただきました。

結果

相談者はご自身でも相続についていろいろ調べておられましたが、いくつかの通常と異なる手続きが重なり不安を感じていたようす。申告後は、やっと終って落ち着くことができますとおっしゃっていました。