『不動産の贈与』~現金贈与との違いは?知っておきたい手続きと税金のポイント~
2025年06月10日
「息子に土地を贈与したいのですが、現金贈与とはどのような違いがあるのでしょうか」このようなご相談をよくお受けします。贈与については年間110万円までの基礎控除があるということをご存知の方は多いものの、不動産贈与になると、評価の計算など複雑に感じられる方が多いようです。今回は、特に不動産贈与について詳しく解説いたします。
◆現金贈与と不動産贈与の基本的な違い
現金贈与の場合は、贈与税の計算において「贈与した金額」をそのまま使用します。手続きも比較的シンプルです。
一方、不動産贈与の場合は、贈与税の計算に「相続税評価額」を使用します。これは路線価や固定資産税評価額をもとに計算された価額のことで、通常は時価よりも低く評価されます。ただし、現金贈与と違い不動産贈与は、贈与税以外にも税金が発生し、手続きも複数必要となります。
◆不動産贈与に関わる税金について
不動産贈与では、以下の3つの税金が発生します。
①贈与税 相続税評価額をもとに計算されます。年間110万円の基礎控除については現金贈与と同様です。
②不動産取得税 土地・住宅は固定資産税評価額の3%、その他建物は4%です(住宅用地などには軽減措置があります)。
③登録免許税 名義変更(所有権移転登記)の際に必要となる税金で、固定資産税評価額の2%です。
多くの税金が関わってきますが、一方でメリットも存在します。
◆不動産贈与のメリット
税務面でのメリットとして、相続税評価額が時価よりも低い場合、現金贈与と比較して贈与税を軽減できる可能性があります。例えば、時価3,000万円の土地であっても、評価額が2,400万円であれば、贈与税は2,400万円を基準として計算されます。
また、将来的な不動産価格の上昇分も含めて贈与することができるため、相続税対策としても有効です。賃貸物件の場合は、家賃収入も併せて移転することができます。
◆注意すべきポイント
ただし、名義変更などの手続きは複雑であり、司法書士への依頼が一般的です。また、2024年4月から不動産登記が義務化されているため、適切な手続きが必要です。贈与後は受贈者に固定資産税の納付義務や管理責任が移転します。現金と異なり流動性に制約があることや、将来売却時の税金計算への影響についても考慮が必要です。
◆おわりに
不動産贈与は現金贈与と比較して複雑な面がありますが、適切に活用することで大きなメリットを得ることができます。なお、2024年の税制改正により相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が新設されるなど、贈与税制度も変化しています。
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